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「この人のこと……憎んでもいい?」
「ジェイ、それは……」
「俺が決めることだって言うつもりなんでしょ? 分かってる、そうだよね、俺が決めることなんだ……でも、俺、他人を憎んだこと無い。いつも自分に悪いところがあるんだって、そう思ってしまうんだ。俺、この人のこと憎んだら」
蓮の目を見つめた。
「変わってしまうような気がする、俺が。それでも憎んでいい?」
その質問の意味を考えた。
(ジェイは……自分の中にどす黒いものを抱えるのが怖いんだ。けれど無かったことには出来ないことも知ってしまった……そうか……許可が欲しいんじゃない、自分が変わることが怖いのか……)
「お前がどう変わろうと、俺はお前を愛してるよ。変わることは辛いかもしれないけど悪いことじゃない。咎められるようなことじゃないんだ。誰もお前を責めない、俺もだ。お前が望むだけこいつを憎んでも、お前の中に変わらないものもきっとあり続ける。俺はそう信じてるよ」
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