512人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
「俺……この人が憎い。堪らなく憎いんだ……殺したいほど。この人は俺を壊したんだ。なのに」
穏やかだったジェイが蓮にしがみつく。
「お、俺、憎いのに、怖い、怖いんだ、この人が……」
声が震える。
「なんで? どうして怖がらなきゃいけないの? ひどいことされて…俺は悪くない、絶対に悪くない……それなのにたくさん警察の人とかに責められて……怖がって……ど……どうして、それでも怖がらなきゃならないんだろう……蓮、どうして……」
強く抱きしめた、泣きじゃくるジェイを。蓮の頬も濡れていた。
「当然なんだよ。お前が憎むのも、怖がってしまうのも。どっちも自然なことだ。押し殺しちゃだめだ、心の中に持ち続けちゃ。何でも聞いてやる。俺がいつだって聞いてやる。我慢するな」
声を上げて泣くジェイを抱き締め続けた。その声を聞きながら、やっとジェイが楽になるのだと思った。まだ辛いことは続くだろう。けれど、泣くことが出来た。内に籠っていることを声に出せた。
「ジェイ……よく頑張って話を聞いたな。一人で戦わなくていい、一緒にやって行こう」
最初のコメントを投稿しよう!