11.間違い

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   表のショー ケースを覗く。  「懐かしいな! ミルクセーキだ。俺はこれを飲むよ」 「ミルクセーキ?」 「これなら腹にも優しい」  入ってみると古いジャズが流れている。テーブルも椅子も古いが磨かれていて、今風じゃないのが落ち着く。客もどちらかというと年配が多い。穏やかな話し声で駅前とは大違いだ。 「いらっしゃいませ。お決まりですか?」 「ミルクセーキを1つ」 「いえ、2つで」 「ミルクセーキ、2つですね」  ウェイトレスは蓮よりちょっと年上だろうか。髪を後ろに束ねてきびきびと動いている。 「マスター、ミルクセーキ2つ」 「ミルクセーキってどんな味なんだろう」 「お前は嵌ると思うよ」 「ここ、いいね。また来たい」 「ちょくちょく来ようか。近いんだし」  久しぶりのミルクセーキは甘すぎた。けれどジェイは喜んだ。蓮の言った通り、ミルクセーキに心を鷲掴みされたらしい。  思い立った散歩のお蔭でいい店を見つけた。 「週末はここに来ようよ」 「ミルクセーキ飲みに?」 「だってこんなの飲んだこと無い」  堪能して店を出てまたぶらぶら歩いた。坂があれば登ってみたり。神社があって入ってみたり。  もうたいした発見は無かったが足の向くまま二人で歩いた。  前方にある道路に出ると、なんてことはない、駅の真裏に続いていた。  
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