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「ここに続いてたのか!」
「ぐるぐる回ったってこと?」
「そうなるな」
なんだか可笑しい。クスクスと笑うジェイを見て、散歩に引っ張り出して良かったと思う。
2人でスーパーに入って、あれでもない、これでもないと買い物をした。
「蓮! それ、多いよ!」
「俺はこれが食べたい。なんだかんだ言ってお前の我がままで最近ピーマンを食ってない」
「どうやって食べるの? 肉詰めなんかだめだよ」
「シャケにさ、たくさん野菜のっけてボイル焼きにしようかって思うんだ」
「ピーマン、要らないでしょ!」
「いや、要る。絶対に入れる」
「俺のには入れないで」
「絶対に入れる」
こうなるとただの痴話ゲンカだ。バカバカしいのは分かっているのに二人とも止まらなかった。
エレベーターの中でも揉めに揉めて玄関を開ける。閉めた途端にジェイが蓮の体を掴んだ。
『なんだ?』、その言葉は出なかった、ジェイに唇を塞がれて。縋りつくようなキスだった。まるで性的ではなくて。
蓮はそっと荷物から手を離してストンとビニール袋が落ちた。
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