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分かっている、今日は自分を楽にしようと蓮が抱いてくれたこと。いつも蓮は一番に自分のために考えてくれること。
話を全部聞いて、だからといって自分のこととは思えないほどだった。都合よく記憶を消すというのはこういうことなのかと、今更ながら自分の弱さを知った。でもそれを口には出せずに……
何かが欲しいと思った、支えになるものが。
蓮は支えだ。けれどただ守られていて、なぜか余計な罪悪感と自己嫌悪を抱えてしまう。自分はいつもされるだけ。
[なぜ逆らえなかった?]
[なぜそんなことを自分は許した?]
後悔がつきまとう……けれどそんな自分でも求めてくれたことが、嬉しくて、ホッとして。こんな自分でも……そこまで堕とされた自分でも欲しがってくれた……
蓮は『自分の欲望に忠実だっただけだ』と笑ってくれた。きっと憐れみじゃない……だから自分を抱いて満足してくれたんだ……自分は今まで通りそばにいられるはず……
まだ消化なんて出来ない、ちゃんと考えるなんて。でもきっと助けてくれる。甘えだとも思っている。けれどこの甘えを受けれ入れてもらえなかったら……
(蓮は助けてくれるばかりなんだ、こんな俺なのに……)
役に立ちたい、と思った。もっと役に立ちたいと。会社の中でも役に立って、いてもいい存在になるのだと。
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