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仕事の様子を見ていたがいつもより精力的だった。ジェイが休憩を取るのを見て4階に下りる。
「飛ばし過ぎじゃないか?」
「頑張って今までの分取り戻すんだ」
「充分頑張ってるよ。取り戻そうなんて思わなくても大丈夫だから」
「ありがとう、でも俺、みんなに恩返ししたいんだ。特に花さんに」
「花はそんなものを返してほしくてお前の心配をしたわけじゃないぞ」
「……そうだね……花さんはそんな人じゃないね」
まただ……3度目ともなるとジェイの中に何かがあるとしか思えない。
(今夜もう一度話した方がいいか)
その後は打ち合わせに次ぐ打ち合わせ。ジェイの様子を落ち着いて見ることも出来ず、4時を迎えた。
「ジェイ、4時」
時間など見ずに仕事をしているから花が声をかけた。時計にチラッと目をやったが、大丈夫ですと返事してそのまま仕事を続ける。立ち上がってそばに行った。
「もう野瀬さんに回したんだから慌てる仕事は無いだろう? もう上がれよ」
手を止めて花に向き合うジェイの目は真剣だった。
「俺、もう充分休みました。甘えてばかりじゃなくて仕事しないと。3人にも申し訳ないし」
「何が?」
「自分たちが仕事してるのに先輩がいい加減だっていうのは良くないから」
「お前がいい加減に仕事したことなんかないじゃないか。それにお前はその分給料も減額されてる」
「花さん。俺、もう普通に仕事したい。お願い、させて」
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