512人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
(何かあったんだな)
花は蓮を見た。今日は打ち合わせばかり。話をする時間なんか取れそうに見えない。
「分かった。今日はお前の好きなようにしていいよ」
安心した顔が余計歪に見える。
(やっぱり課長と話した方が良さそうだ)
花は蓮に近づいた。
「課長、どこかで10分くらい時間空きますか?」
「それくらいならいつでも空けるぞ。どうした? プレゼンならもう心配ないだろう?」
「そうじゃなくて……」
後ろを振り向く花にピンときた。
「花、俺も話しておきたいことがあるんだ。20分だけ待っててくれ。報告書を仕上げたら下に行く」
「了解」
提出期日の早いものだけでも出しておきたい。急に休む必要が出た時を考えて最近は仕事を早めに進めるようにしていた。
4階で先に待っていた花が温かいほうじ茶を渡してきた。
「ありがとう……って、お茶か……」
「だめですよ、隠れて変なもの飲もうとしても。ほうじ茶なら胃に負担かからないってマリエが言ってました」
「はいはい。早くお許しが出てほしいよ。……先に俺が話してもいいか?」
「はい」
最初のコメントを投稿しよう!