512人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
オフィスに戻るとみんなに声をかけた。
「明日で連休だ。まとめて休みを取る者もいるから先に言っておく。休み中は気をつけて過ごしてくれ。陽気はいいし気が緩むからな。頭の中まで陽気にならないでくれよ。連休明けには元気な顔を見せてほしい。三途」
「はい」
「また山か？」
「そうです」
「無茶するなよ。……そう言えば若い連中を連れて行くと言ってたな」
「それは勘弁してやりました。初めてのゴールデンウィークですからね」
にやっと笑った三途にホッとした。そこまでの権限はないのだから。連れて行くと言うなら話をしなきゃならないと思っていた。
「新入社員は特に気をつけてくれ。どこの企業でも言うことだが、休み中でも社会人だということを自覚しておいてほしい。頼むからガキっぽいトラブルは起こすなよ。明日は業務というより残務だな。自分のためにも進捗を考えて仕事してくれ。以上だ」
今日の業務はここまでだ。自分も５時で上がらなきゃならない。残業する者には「悪いな」と声をかけながらジェイと一緒に車に向かった。
「今日は食べて帰ろう。いつもの和食のファミレスでいいか？ あそこなら俺も食べられるんだ」
「いいよ、蓮の好きなところで」
何気ないジェイの返事。けれど蓮の中では一つの結論に達していた。
最初のコメントを投稿しよう！