512人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
「俺はカレイの煮つけ定食にするよ。お前は?」
いつもなら天ぷら刺身定食だ。それは1200円。蓮のカレイは980円。
「俺、ミニ天丼とそば定食でいい」
「珍しいな、いつものを頼まないなんて。デザートは?」
「今日は欲しくないんだ」
「そうか」
注文を取りに来たウェイトレスに蓮が頼んだ。
「カレイの煮つけ定食、天ぷら刺身定食、抹茶あんみつお願いします」
「蓮!」
ウェイトレスが復唱して去った後、おしぼりで手を拭いている蓮にジェイが何か言おうとした。
「『俺の前ではありのままのお前でいて欲しい』俺の言葉、覚えてるか?」
「……覚えてるけど…」
「で、今のお前はありのままか?」
「……」
「話したいことがあるなら聞く」
「話したいことなんて……」
「俺たちが付き合いだしてもうすぐ1年が経つな。早いもんだ、去年の今頃はお前は俺に敬語を使っていた」
話がどこに行くのか分からなくて、ジェイは蓮の顔を見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!