11.間違い

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  「俺はカレイの煮つけ定食にするよ。お前は?」  いつもなら天ぷら刺身定食だ。それは1200円。蓮のカレイは980円。 「俺、ミニ天丼とそば定食でいい」 「珍しいな、いつものを頼まないなんて。デザートは?」 「今日は欲しくないんだ」 「そうか」  注文を取りに来たウェイトレスに蓮が頼んだ。 「カレイの煮つけ定食、天ぷら刺身定食、抹茶あんみつお願いします」 「蓮!」  ウェイトレスが復唱して去った後、おしぼりで手を拭いている蓮にジェイが何か言おうとした。 「『俺の前ではありのままのお前でいて欲しい』俺の言葉、覚えてるか?」 「……覚えてるけど…」 「で、今のお前はありのままか?」 「……」 「話したいことがあるなら聞く」 「話したいことなんて……」 「俺たちが付き合いだしてもうすぐ1年が経つな。早いもんだ、去年の今頃はお前は俺に敬語を使っていた」  話がどこに行くのか分からなくて、ジェイは蓮の顔を見ていた。   
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