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「けど……ターゲットになったっていうのは俺に隙があったんだ、きっと。そして今日までみんなにたくさん……迷惑かけた」
「だから定時まで仕事したのか? お前のその考え方は健全じゃない。ということはまだ定時上がりになるには早いということだ」
「蓮……」
「お前は昨日、俺に『ありがとう』と言った。休憩の時は『心配かけたくない』その後は『みんなに恩返しがしたい』。気持ちにそういうのを持つのは間違ったこととは言えないし、お前の性格ならそうなんだろうと思う。けど俺は『ありがとう』の後に下を向くお前はイヤだ」
何も言えない。どうしても踏み越えられないでいる一線。相田は憎い。相田に対しては絶対に自分は悪くないんだと思いたい。
けれど周りの人には…… そして今、自信が無かった、隙が無かったかどうか。
蓮の言葉が優しくなった。
「俺の方がお前を支えることが確かに多いかもしれない。けどそれは量じゃないと思っているよ。だって俺も支えられているんだ、お前の存在に。お前がいるから頑張ろうと思えることが多い。支え合っているもんだと俺は思っていたんだ」
「でも俺の方が迷惑……」
「迷惑の量で測る方がいいのか? じゃ、俺が同じ量お前に迷惑をかければお前の気が済むのか?」
蓮は何を言っているのだろう……そんな風に考えたわけじゃない……
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