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「俺、たくさん兄弟がいる……あそこは……家族なんだ、俺の」
「そうなるな」
「で、てっぺんは蓮……」
「俺はお前と兄弟になる気はない」
「……」
「なんで恋人が兄弟になるんだよ。おかしいだろ」
ぱっと赤らむ、顔が俯く。蓮は両肘をテーブルにつけた。
「俺はお前のそういうの見るのが好きだよ」
「え?」
「真っ赤になって下向くところ。お前の言う『エッチ』っていうヤツをどんどん言いたくなる」
「れ! れん、何言い出すの! こんなとこで……」
「なんだ? もういっぺん聞きたいって?」
「違っ!」
そこに料理が来たから小休止になった。
「食べろ。今度値段なんか気にしたら怒るぞ。貧乏になったら二人でお茶漬けで毎日過ごそう」
ようやくジェイの顔に笑顔が浮かんだ。
「じゃ、いろんな種類のお茶漬け溜めておかなきゃね」
「お前に任せるよ」
刺身を食べるジェイが幸せそうだ。
「もう間違えるな。お前はいつもの通りやっていればいいんだ。それでみんな安心する。無理に変わるな。みんなが寂しがるから」
罪悪感も自己嫌悪も薄れていく。消えはしない、それは無理だ。けれど心が楽になった。
蓮の顔を真っ直ぐ見て言った。
「ありがとう、蓮。また間違ったら教えて」
「やっぱり末っ子だ、お前は」
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