11.間違い

18/18

512人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
  「俺、たくさん兄弟がいる……あそこは……家族なんだ、俺の」 「そうなるな」 「で、てっぺんは蓮……」 「俺はお前と兄弟になる気はない」 「……」 「なんで恋人が兄弟になるんだよ。おかしいだろ」  ぱっと赤らむ、顔が俯く。蓮は両肘をテーブルにつけた。 「俺はお前のそういうの見るのが好きだよ」 「え?」 「真っ赤になって下向くところ。お前の言う『エッチ』っていうヤツをどんどん言いたくなる」 「れ! れん、何言い出すの! こんなとこで……」 「なんだ? もういっぺん聞きたいって?」 「違っ!」  そこに料理が来たから小休止になった。 「食べろ。今度値段なんか気にしたら怒るぞ。貧乏になったら二人でお茶漬けで毎日過ごそう」  ようやくジェイの顔に笑顔が浮かんだ。 「じゃ、いろんな種類のお茶漬け溜めておかなきゃね」 「お前に任せるよ」  刺身を食べるジェイが幸せそうだ。 「もう間違えるな。お前はいつもの通りやっていればいいんだ。それでみんな安心する。無理に変わるな。みんなが寂しがるから」  罪悪感も自己嫌悪も薄れていく。消えはしない、それは無理だ。けれど心が楽になった。  蓮の顔を真っ直ぐ見て言った。 「ありがとう、蓮。また間違ったら教えて」 「やっぱり末っ子だ、お前は」  
/330ページ

最初のコメントを投稿しよう!

512人が本棚に入れています
本棚に追加