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もっと聞こうとしてくる二人に花が釘を刺した。
「お前たち、連休明けに持ち越す仕事はないんだろうな。プレゼンのこと忘れてないよな」
「打ち合わせしてきます! 窓側のオープン席お借りします!」
3人が窓側に行ったのを見て花がため息ついた。
「去年の今頃って楽だったのになぁ」
「チーフじゃなかった頃ってこと?」
「自分のチーム持つなんて考えてもいなかったからな」
「でも最近は貫禄ついてきたよ」
「そうか? おい、4階」
今日はミーティングも何もない。連休の谷間も仕事はほとんど無く、社内も静かだが花はあのプロジェクトのまとめをやるつもりだ。GPSも完成し、そろそろまとめなきゃならない。ここからの仕事には、GPS開発に加えなかったジェイにも入ってもらうつもりだ。
2人でコーヒーを飲みながら、花は例の話をジェイに振った。
「課長に全部聞いたんだって?」
「え? ……事件のこと?」
「他に何があるんだよ。平気なのか? あんまり変わんないからさ、みんな気づいてないと思うけど」
「……整理ついてないんだ、俺の中で。まだつけたくないし、この休みの中でよく考えてみようと思って」
「一人なんだろ? 大丈夫か?」
「大丈夫」
「カナダじゃなけりゃなぁ、あちこち引き摺り回すんだけど……そうだ、三途さんとこに行ったら?」
「三途さん、いないのに?」
「お前、あそこ馴染んでるじゃん」
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