12.ゴールデンウィーク

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   エレベーターが開いて出てきたのは池沢と三途川だった。 「チーフ、奢ってくれるんですね! 珍しい」 「お前、ホントに奢られるの好きだよな」 「人の好意は素直に受ける主義で」 「はいはい、女王さま。何がいいですか?」 「ストレートティーを」 「はいはい」  冷たいストレートティーを渡すと男らしく一気飲みする。 「そこで空き缶潰したら完璧だよな、お前」 「どう完璧なんですか?」  何か考えている風で池沢が上の空だと思った。 「どうしたの? 何かあった?」 「親父をね、施設に入れた方がいいんじゃないかって」 「お姉さん?」 「どうやら付き合ってる人がいるらしいんだ。今まで苦労してきたから反対なんかするつもりないし。けど姉さんの方が親父のことで気にして」 「じゃ、結婚は本決まりなのね?」 「そうなると思う。最近親父も時々訳分かんないこと言うしな。その方が3人それぞれのためになるだろうって」  確かにそうだろう。父親のために自分たちの幸せを犠牲にする。そんな感覚でいるよりはずっといいはずだ。  
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