12.ゴールデンウィーク

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  「おい、待て!」 「ほら、座って!」 「今見るのか?」 「用事? 買い物? 俺見てるから行ってきていいよ」 (いや、それ意味無いだろっ!) 「この映画のコマーシャルで次に見るの決めてもいいね! あ、これいい!」  それも蓮が狙っているものだ。 (サスペンスが侵食される………)  こうなったら見たいものを先に借りておいて夜中に一度見ておくしかない。  ストーリーが始まって、見たかったものを無事に見るのは不可能だとため息をついた。  初っ端からスリリングな展開。だが隣も初っ端から立ったり座ったり。持っているジュースが零れたのも気づかなくて、蓮が布巾を取ってくる間に最初の重要人物は背中を向けて去っていった。 (こいつとサスペンスを見る時はお菓子も飲み物も無しだ!)  借りてきた14本の内の4本のサスペンスはそうやってジェイを堪能させて終わった。 「面白かった! 人が死ぬのはイヤだけど、ドキドキするのはジェットコースターみたいで楽しい!」 「そうか、良かったな」 「蓮? どうして機嫌悪いの?」 「別に」 「なんか不貞腐れてるみたい……お腹空いてた?」 「…………」  最初の休日は蓮がふてくされて過ぎていった。   
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