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いよいよ本格的なゴールデンウィークだ。2人は先にお墓参りに行った。手を合わせるジェイは真剣だった。
(母さん……俺、頑張れるか自信無い……でも蓮に聞いたこと、少しずつノートに書きだすよ。そこから始める。なるべく仕事をしてるみたいに。蓮が前に言ったんだ。『感情も考えも要らない、事実だけ言え』って。それ、やってみる)
目を開いたジェイの顔を見て、蓮は(大人になってきた)と少し寂しい気持ちになっていた。
必要なことだ。これから大きな問題を抱えていくのだから。
『分からない』から始まるのではない。まず考える。そこからスタートする。もうジェイは自分でスタートできるようになるだろう。振り向かれるまでその後姿を見守っているのが蓮の在るべき姿だ。
(こうやって対等になっていくのか。お前が甘えてくれることで俺も甘えていたのかもしれない……)
こうなればジェイの成長は早いだろう。
(それでも俺を必要としてくれるよな?)
そんな不安さえ、抱えてしまった自分に呆れてしまう。自分の頬を両手で叩いて気持ちを入れ替えた。
(支えるんだ、どんなにジェイがくじけそうになっても。お前の後ろには俺がついてる)
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