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「え!? 遭難!?」
蓮の声にジェイが飛び上がった。
「遭難って? 三途さん!?」
「ええ。はい。……はい。で、いつ発ちますか!? ええ。……分かりました。俺も向こうで合流します!」
電話を切った蓮が青い顔で立ち尽くしている。
「蓮! 三途さんに何かあったの!?」
「三途が……遭難したそうだ、カジさんからの連絡だ。親父さんも女将さんもすぐ現地に行く。俺も行ってくる……」
「すぐ支度する!」
毎年、連休前に確認する。
『お前は山か?』
『ええ』
『気をつけろよ、無事に帰れ』
『もちろんですとも!』
(三途……)
状況が分からない、行くしかない。行かないという選択など無かった。
(そうだ、池沢には連絡しておこう)
電話はすぐに繋がった。
『どうしました? 休みなのに』
「池沢……悪い知らせだ、三途が遭難した」
『え?』
「今、親父さんと女将さんが現地に発った。俺も行く、お前には知らせておくから。まだ誰にも連絡は」
『俺も行きます!!!!』
「お前も?」
『俺の車の方がデカい、パワーもあるし。すぐそっちに行きます!』
返事も待たずに切れた。確かに池沢がいる方が心強い。ジェイはパニックを起こすかもしれない。花は……と考えてやめた。
(まだ知らせるには早い)
そう思うことできっとすぐに見つかるという気がした。
(三途、お前らしくもない……)
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