12.ゴールデンウィーク

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  「姉さん、連休なのに悪い! いつ帰るか分からないけど親父頼む!」  バッグにとにかく着替えを突っ込んで、現金を確かめて飛び出した。 (三途、三途、三途………) 「三途、三途……」  それはいつの間にか呟きになっていた。そんなことにも気がつかない。あっという間に蓮のマンションに着き、下で待っていた蓮とジェイを拾った。 「場所は!?」 「船窪岳だそうだ、さっきネットで調べたが結構危険なところらしい。長野と富山の県境にある。イチさんが親父さんたちを乗せて行ってる。滞在場所が確定次第、連絡をくれると言っていた」 「なんでまた……」 「向こうはかなり天候が悪いらしい……6、7人で行ったようだが三途だけが行方不明だ」 「どうしよう、三途さんに何かあったら……」  後部座席からジェイの震える声がする。 「何かあってたまるか! 三途は無事に帰ると言った!」 「池沢?」 「俺は! 俺は……」 「お前、まさか…」 「高速入ったら飛ばしますよ!」  それ以上蓮は何も言わなかった。池沢の顔を見れば分かる、三途を大切に思っていることが。   
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