12.ゴールデンウィーク

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   相手は紙を出してきた。 「こんな時にこれを言うのは心苦しいんですが。でも遭難者のご家族には毎回説明していることです。もしヘリを飛ばすことになれば、1分で1万かかります。1時間前後の捜索なら50から80万近く。さらにいろんな金がかかってきます。そこは分かっていただきたいんです」 「俺が払う! いくらかかっても払うからなんでもやってください!!」  突然の池沢の言葉に皆が驚いた。 「金はいいです。だからあいつを助けてやってください。この通りです!」  池沢は座った途端に土下座をした。 「無理は承知してます。親父っさんはきっとそんなこと口が裂けても言いません。でも……でも出来ることなら何でもしてください。お願いします!!」  震える肩に蓮が手を載せた。 「私からもお願いします。どうぞ出来る限りの手を尽くしてください。お願いします」 「お願いします!!」  ジェイもそれしか言えないけれど何回も頭を下げた。 「金、心配ないです」  廊下から声がした。青い顔をした男が入ってきた。 「申し訳ありません!! 同行した戸田と申します。山岳保険にそれぞれ入っています。300万まで補償が出ます。もしオーバーしたら俺たちグループで出します。三途さんは強硬に反対していた……初心者は返すべきだと。面倒見ないとまで言ったんです。なのにいざとなった時に助けたのは三途さんだった……」   
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