512人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
相手は紙を出してきた。
「こんな時にこれを言うのは心苦しいんですが。でも遭難者のご家族には毎回説明していることです。もしヘリを飛ばすことになれば、1分で1万かかります。1時間前後の捜索なら50から80万近く。さらにいろんな金がかかってきます。そこは分かっていただきたいんです」
「俺が払う! いくらかかっても払うからなんでもやってください!!」
突然の池沢の言葉に皆が驚いた。
「金はいいです。だからあいつを助けてやってください。この通りです!」
池沢は座った途端に土下座をした。
「無理は承知してます。親父っさんはきっとそんなこと口が裂けても言いません。でも……でも出来ることなら何でもしてください。お願いします!!」
震える肩に蓮が手を載せた。
「私からもお願いします。どうぞ出来る限りの手を尽くしてください。お願いします」
「お願いします!!」
ジェイもそれしか言えないけれど何回も頭を下げた。
「金、心配ないです」
廊下から声がした。青い顔をした男が入ってきた。
「申し訳ありません!! 同行した戸田と申します。山岳保険にそれぞれ入っています。300万まで補償が出ます。もしオーバーしたら俺たちグループで出します。三途さんは強硬に反対していた……初心者は返すべきだと。面倒見ないとまで言ったんです。なのにいざとなった時に助けたのは三途さんだった……」
最初のコメントを投稿しよう!