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2時を過ぎたが、誰も眠るなんて出来なかった。
「『顔を見たら』……か。揺るがないね、あんたと変わらん」
「あいつは腹が据わってますからね」
親父さんはジェイに目をやった。
「あんただって何でもやるんだろう? あの子のためなら」
ジェイを見つめて躊躇わずに蓮は答えた。
「やりますね。今ここにあいつをあんな目に遭わせたヤツが出てきたら殺します」
親父っさんが目を見開いた。
「大将がそんなことを言うなんてな……池沢さんのこと、教えてくれるかい?」
「いいですよ」
2人は隣の部屋へ移動した。そこでも人が立ち働いている。邪魔にならないように隅に腰を落ち着けると蓮は話し始めた。
「池沢には父親と姉がいます。母親は17の時に亡くしました。結構悪さしたらしいです、その頃は。悪い連中ともつるんでね。でも家族が立ち直らせた。元々が戦車みたいなヤツですからね、そこからはフル回転で頑張ってきたんですよ。俺の下に入った頃のあいつにはえらく手こずりました。なにせ声がデカいから、しまいにはケンカ腰になったりして」
想像がついたのだろう、親父さんが笑っている。
「ある仕事が入った時に真っ向から対立しました。会社は上得意だったから何が何でも間に合わせろと。俺は受けて立つという性格だし、池沢はなんで言いなりになるんだと言う。仕事以前の問題ですよ、そこで業務がストップするんだから。お前抜きでやる、そう言いました、引っ込んでろと」
思い出して蓮も笑った。
「あいつがしたのは部長への直談判ですよ、まだチーフにもなっていなかったのに。客の無理を受け入れるばっかりが会社じゃないだろう、現場を振り回すような受け方をするな。そう言ったらしいです」
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