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それから1時間もしないうちに手術室が開いて三途川はICUへと運ばれた。
「少し心肺機能が弱っていますからね、今は人工呼吸器を使います。でも強いですね、多分自分で動けないながらも体温が下がり過ぎないように頑張っていたんだと思いますよ。もっと下がっててもおかしくなかったんですから。後はいくつか検査しながら診ていきます」
ICUの中で三途川は静かに眠っていた。
「これでじゃじゃ馬もしばらく大人しくするだろう」
安心した反動もあって親父さんが笑った。
「でも、三途ですから」
池沢の言葉にみんなが『確かに』と頷く。
警察や救助隊の聞き取りと書類手続きのため、親父さんと女将さんは別室に向かった。疲労の色は濃いけれど、今朝までのあの焦燥感に包まれた時間に比べればなんと幸せなことか。
池沢がじっとガラス越しに三途を見ている。
蓮はジェイを突っついてICUから離れた。それを見てカジもイチを促して待合室へと向かった。
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