513人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
「苦しいか?」
「違う、蓮が苦しかったんだって……辛かったんだってそれがよく分かったんだ……俺だけが何かされたんじゃない、あの人は俺たちみんなに酷いことをしたんだ………」
ジェイにとって自分だけの裁判ではなくなった。自分たち関わった者全員の裁判だ。相田にはその代償を払う義務がある。
「俺は戦わなくちゃいけないって前よりもそう思う。俺たちみんなの心をあの人は弄んだんだ。楽しんでたんだ、そうやって。怖いけど許せない。俺、聞いたことと思い出したことをまとめようと思ってる。聞いただけの部分も思い出したい。そうしないと自分の言葉で話せない」
客観的に物を考える。ジェイをそれをやろうとしている。きっとその間に心が揺らぐこともあるだろう。けれどもう立ち止まるのを止めたのだと蓮には分かった。
自分では分からなかったこと。それが三途川の事故で分かった。
人の命の懸かっている状況で自分に出来ることがどれほどあるのか。ただ待つのはどんなに残酷なことなのか。
自分が今回見たみんなの辛い顔は、そのままあの事件で自分のために浮かべたみんなの顔だったのだと思う。
後は必要なことをやるだけ。そうジェイは心に決めた。
最初のコメントを投稿しよう!