12.ゴールデンウィーク

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   食べ終わってICUに戻る途中、ちょうど親父っさんたちと一緒になった。 「済んだんですか?」 「取り敢えずはな。まだいろいろあるが、救助の費用の清算とか。そこはリーダーだった栗本って人が引き受けてくれたよ」  まだICUの大窓のそばに立っている池沢に蓮がコーヒーを渡した。美味そうに飲むその顔に親父さんが笑いかける。 「池沢さん。救助の人が言ってたよ」 「何をですか?」 「見つけてな、ヘリに運ぶときにありさが呟いたんだと。『チーフ』ってな」 「え? 俺……ですか?」 「他にいるのかい?」  池沢の顔がみるみる赤くなっていく。 「ま、そういうこった。あいつは天邪鬼だ。後はどう口説いて本心を言わせるか。あんたにかかってるって、そう伝えようと思ってな」 「親父っさん……」 「頑張れよ。俺たちはちょっと寝てくるよ。あんたも休んだ方がいい。意識が戻ったら待合室に知らせてくれるそうだ」  一緒に歩き出したイチが振り返った。池沢の顔を見つめてしっかりと頭を下げて歩いて行った。イチは自分にけじめをつけたのだと蓮は思う。  自分との話が出た時にももやもやしていただろうに、今回はすっぱりと思いを断ち切る……イチの気持ちを思うと複雑な気分でもあった。    
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