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「俺、幸せにしますよ、絶対に。イチさんにぶん殴られるような真似はしません」
「池沢、お前なら大丈夫さ」
蓮がぽんぽんと池沢の肩を叩く。
「それにイチさんがぶん殴るより先にきっと三途がお前をぶん殴る。賭けるか?」
笑い出す池沢の声が晴れやかだった。
「止めときます、負けますから。そうですね、三途が黙ってるわけが無い」
「地下に食堂がある、何か食って来い」
「いや、俺は」
「いいから。何かあればすぐ知らせる。三途も目が覚めた時にお前のしょぼくれた顔は見たくないだろう」
「チーフ、俺すぐに呼びに行きますから」
そう聞いた途端に池沢の腹が空腹を訴えてきた。
「分かった。ジェイ、頼むな」
「はい! 任せて」
その日の夕方6時半ころ、三途川は目を覚ました。その時にはもう呼吸器も取れていて状態が安定していることを確認されていた。
まだぼんやりしているのを、ナースたちがICUから病室へと運んでいく。しばらくは点滴や診察が入ってみんなは廊下で待っていたが、落ち着いて中に入るとさっきより三途川の意識ははっきりしていた。
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