12.ゴールデンウィーク

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  「ありさ……」 「母さん……ごめん、父さんも」  喉に挿管していたせいもあってまだ声が掠れている。 「この馬鹿もん! みんなに心配かけやがって」 「ごめんね、みんな……」 「三途、無理に喋らなくていい」  それだけ言って蓮は下がった。池沢が三途川のそばに立つ。 「チーフ、来てたんですか?」 「決まってるだろ……バカ、心配したんだ。無事に帰るって約束したのに」  そう言いながらそっと右手を握る。この手だけは無事だ。 「お前に言うことがある」  見上げる三途川の顔に優しい目が向けられた。ジェイの方がドキドキしていた。 「俺と結婚してくれ。嫌だと言うな」 「……チーフ、それ、プロポーズ?」 「そうだ」 「みんなの前で? Noは無しなの?」 「ああ。辛いだろ? あまり喋るな。お前は頷けばいいんだ」 「無茶を言うわ」  くすりと笑って顔を歪めた。右頬、額に傷がありガーゼが当てられている。   
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