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「もうちょっと私がマシな時にしてください」
「お前が目を覚ますのを待っていたんだ、これ以上待ちたくない」
「イヤです」
「なんで!」
「なんでって……デートも何もしてないし……第一私の気持ちは? 何も聞かないの?」
「もう分かってるから。お前、見つかった時に俺のこと呼んだそうだ」
「私が? ……ああ……ずっとチーフの声がうるさかったから」
「うるさかった?」
「気を失うまでずっとチーフの声が……」
そこまで言って三途川の目が大きくなった。
「なんでチーフの声だったんだろう……」
「返事をしろよ、結婚するって」
「……イヤです、やっぱり。私のこと、ずっと『三途』って呼ぶんでしょ? お断りだわ」
「ありさ、俺と結婚してくれ」
親父さんが咳払いした。
「俺たちは喉が渇いたからな、何か飲んでくるよ」
呆けたように2人を見ていた全員が慌てて動き出した。これ以上いるのは野暮というものだ。
「池沢、三途はまだ疲れてる。休ませてやれよ」
「はい。無理はさせません」
「後でまた来るよ」
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