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ゴールデンウィークは、恐ろしく早く過ぎていった。
三途川は池沢のプロポーズを承諾した後、安心したように昏々と眠り続けた。親父さんと女将さんは何度も池沢に頭を下げ、「娘をよろしく頼みます」と繰り返した。
翌日検査をいくつか受けて、5月8日に移送可能となり矢田総合病院が受け入れてくれることになった。
相田に刺された花とジェイが手当てをされた病院だ。そこなら実家からもみんなが見舞いに来るのにも、そして何より池沢が見舞いに行くのに好都合の場所だった。
6日から仕事だと池沢は帰る気だったし、三途川も池沢を返す気だった。
「だめだ、池沢。お前は11日の月曜から出勤しろ。課長命令だ」
「これから忙しいじゃないですか! 三途と揃って2人抜けるわけには行きません!」
「チーフを連れて帰ってください。私、まだ独身時代を謳歌したいです」
「池沢。三途。お互いに呼び方が違うんじゃないか?」
「……そんなのいいですから! どうせ私もすぐ戻るんだし」
「三途、池沢が出社し始めたら少ししか会えないぞ。今の内にスケジュール決めたり忙しいだろ?」
「スケジュールって?」
「結婚式。池沢、三途を頼む。無事転院するまでいてやってくれ」
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