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「三途さん、早く良くなってね。三途さんいないと俺、寂しいから」
「ジェイ! こっちいらっしゃい」
そばに行くと右手で頭を撫でてきた。
「どうしてみんな俺の頭を撫でるの! 俺は大人だよ!」
「いいのいいの。あんた、やっぱりいい子だわ。退院したらしばらく実家に行くと思うから遊びにおいでね」
「うん。でも病院にもお見舞いに行くよ」
「あんたなら大歓迎よ」
結局頭を撫でまわされて蓮と2人、みんなに別れを告げた。来る時は池沢の車だった。今はイチが運転している。イチを先に返したのはカジの心配りだ。
「今日一日でゴールデンウィーク終わりだね」
「そうだな、なんだか休んだ実感が無い」
「もう今日は家で大人しくしてようよ。蓮、疲れたでしょ? 昼寝とかしたら?」
うっかりするとカクンと頭が落ちそうなほど眠い。
「お前は?」
「俺……事件のこと、まとめたいんだ」
「1人で大丈夫なのか? 手伝おうか?」
「ううん、まず俺1人でやってみる。辛くなったら助けてくれる?」
「……分かった。その代わり無理はするな。自分で記憶の蓋をこじ開けるんだ、お前にはかなりハードだぞ」
「無理はしないようにする。ありがとう」
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