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翌5月6日。みんな元気に出社してきた。顔を見渡して2人と千枝以外に抜けているメンバーがいないことにほっとした。
千枝は明日からの出社だ。しばらくはインドと哲平の話を聞かされるだろう。
「みんなに伝えたいことがある。特に三途川チーム。よく聞いてくれ。山に行っていた三途が遭難した」
いっぺんにオフィスの中がざわついた。
「課長! 遭難って!? なんで連絡くれないんですか!」
「野瀬、慌てるな。無事に救助されて今は入院している。怪我は腕の骨折と、足を枝が突き抜けただけで済んだ。崖から転落したんだからどうなってもおかしくなかった。長野の病院に今はいるが、8日金曜日に矢田総合病院に転院する」
無事と聞いてほっとした声が広がる。
「三途川チームには俺がしばらく入る。池沢が出てくればバトンタッチするからそれでやっていこう」
「池沢さんはなんで休みなんですか? スケジュールじゃカレンダー通りでしたよね?」
「池沢は11日から出社する。今は三途に付き添っている」
みんなが不思議そうな顔をする。
「それってどういうことですか? 課長補佐だからって……」
「違う、そういうことじゃないんだ。これは……」
蓮は閉まったと思う。付添いなど言わなければ良かった。その時、思いもよらぬ声が上がる。花だ。
「あのね、チーフと三途さん、結婚するんだって。だから今はそばにいたいんじゃないの?」
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