13.準備

8/37

513人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
   朝礼が終わって花は真っ直ぐ蓮のところに行った。 「すみません、バラしました」 「怒ってるのが分かってるようだな」 「はい」 「後でジェイにもキツく言うが、なぜ喋った? お前は口が軽いヤツじゃないだろ?」 「サプライズしたかったです。チーフも三途さんもずっと人のために頑張ってきたから。だからみんなで前祝いしたくなっちゃって」  なんとなく分かる。変えてくれたのは哲平だが、育ててくれたのは池沢だ。時に辛辣な三途がずけずけと花に痛いアドバイスをしていた。 「恩返しのつもりだったのか?」 「……ええ……まぁ、その……」 「それにしちゃ余計なお世話だぞ。罰としてサプライズはお前が責任取れ」 「はい」 「ここでやるつもりか?」 「だって帰りじゃ三途さんとこに直行するだろうし」 「確かにな。でも業務中は困る」 「絶対チーフのことだから早く出勤してくると思うんです。だから始業前。そんなに時間かけないでやります」 「みんなに無理強いはするなよ」 「了解です。あの」 「なんだ?」 「ジェイ、怒んないでください。お願いします」  花が殊勝に頭を下げた。 「分かった、少し手加減しとく」  それ以上は花も食い下がらず席に戻った。   
/330ページ

最初のコメントを投稿しよう!

513人が本棚に入れています
本棚に追加