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朝礼が終わって花は真っ直ぐ蓮のところに行った。
「すみません、バラしました」
「怒ってるのが分かってるようだな」
「はい」
「後でジェイにもキツく言うが、なぜ喋った? お前は口が軽いヤツじゃないだろ?」
「サプライズしたかったです。チーフも三途さんもずっと人のために頑張ってきたから。だからみんなで前祝いしたくなっちゃって」
なんとなく分かる。変えてくれたのは哲平だが、育ててくれたのは池沢だ。時に辛辣な三途がずけずけと花に痛いアドバイスをしていた。
「恩返しのつもりだったのか?」
「……ええ……まぁ、その……」
「それにしちゃ余計なお世話だぞ。罰としてサプライズはお前が責任取れ」
「はい」
「ここでやるつもりか?」
「だって帰りじゃ三途さんとこに直行するだろうし」
「確かにな。でも業務中は困る」
「絶対チーフのことだから早く出勤してくると思うんです。だから始業前。そんなに時間かけないでやります」
「みんなに無理強いはするなよ」
「了解です。あの」
「なんだ?」
「ジェイ、怒んないでください。お願いします」
花が殊勝に頭を下げた。
「分かった、少し手加減しとく」
それ以上は花も食い下がらず席に戻った。
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