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昼になって花はジェイの後ろについて行った。近くのデパートの15階まで上る。
「こんなとこ、来たこと無い。お前よく来るのか?」
「ううん、初めて」
「初めてのとこ?」
「ちょっと1人じゃ入りにくくて……」
(こいつが入りにくいって……)
イヤな予感がする。
店の前に立つと3組くらい並んでいた。
「こ、ここ!?」
「うん! 下でいつも案内板見てて入りたかったんだ。やっと入れる!」
「あのさ、他に行かないか、なんでも奢るから。なんなら明日も奢るから」
「やだ! ここがいい」
並んでいるのも中の客もほとんどと言っていいほど女性。ランチメニューはオムライスセットとお子様ランチとサラダだけ。他はパフェやらケーキやらパンケーキやら飲み物。
まるで第二の『フェアリー』だが、あんな事件があってからそこはジェイの中でタブーとなってしまっている。そう思うと仕方ないのだが………
「オムライスセットしか無いじゃん!」
「花さん、それ食べて。俺お子様ランチが食べたかったんだ!」
「マジ!?」
「一度食べたかったんだ、お子様ランチ。下に大人でもいいって書いてあったから」
そりゃ食べたいだろう、きっとお子様ランチは夢の一つだったに違いない。けれど……
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