13.準備

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   女性の視線をかいくぐって店を出る。会社の4階でやっと落ち着いた。 「あのさ、サプライズの企画俺がやれって課長に言われてさ。なんか知恵あったら貸してもらおうかなと思ったんだ」 「俺も企画担当って課長に言われた」 「あ! 悪い! 俺のせいだな」 「いいよ、俺もチーフと三途さんに何かしたい」 「11日はさ、チーフだけなんだよな。それで朝の始業時前に終わらせたいんだ」 「厳しいね! じゃよく考えないと」 「じゃ、2人で考えよう。助かった!」 「いい知恵出るといいんだけど……」  ちょっと頼りないけれど、チーフの下で働いた者同士。何かしたいのは同じだ。 (ん? そうだ、千枝さんも巻き込んじゃえ!) 花はしっかりその気になった。  時計を見るとまだ5分弱あった。 「あのさ、どうしてる? アイツのこと」  それだけで意味が分かる。 「ノートに書きだしてるんだ、今までのこと。それから覚えてることや思い出したこと。でもばらばらになっちゃうとこがあって……」 「ジェイ、俺も手伝っていいか? 多分、俺が一番見てると思う」 「……いいの?」 「何言ってんだよ! 手伝う、一緒に考えよう……ノートに? パソコンじゃなくて?」 「手書きの方が頭に入るし。そうしたくて」 「そうか……いいよ、俺も書いてみる。それで突き合わせしてみよう。きっとその方がいいよ」  蓮も手伝ってくれる。花も。絶対に抜けた記憶を取り戻したい。きっと辛いだろうと思う。けれど散々この事件と自分の記憶の穴に振り回されてきた。 (もういやだ、繰り返すのは。ちゃんと終わりにしたい)  ジェイの中に、相田と対決するという意識が次第に芽生え始めていた。   
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