13.準備

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  「お見舞い、いつ行く?」  翌日出社してきた千枝は興奮気味だで、サプライズ企画にすぐに賛同した。 「転院って8日でしょ? その日に行く?」 「でも三途さん、疲れてるんじゃ……」  ジェイが三途を労わる。花は別の視点だ。 「だめ、どうせその日はチーフがべったりだよ。土曜にしよう」 「……そうね、私もあんまりベタベタしてるの見るの嫌だし」 「千枝さんが言うかなぁ、哲平さんとベタベタしてるくせに」 「花さん、土曜、他に行く人がいないか誘ってみない?」 「そうだな、言ってみようか」  すぐにほとんどの者が参加表明をした。七生と桜井充は遠慮組だ。せめて三途がいない間は安心して会社に来たい。他に関わりの少ない新人たちも不参加だ。  大声で喋っているのを打ち合わせから帰ってきた蓮が聞きかじった。 「おい! 三途のとこに見舞いに行く話だな? 大人として分かっているとは思うが、一度に大勢で押しかけないよな?」  浜田がすぐに返事を返す。 「そりゃそうだよな! そりゃ迷惑ってもんだよ、みんな考えないと」 「はぁ? さっき、みんなで行って驚かそうとか言ってたじゃないですか」 「さ、澤田……」 「とにかく! 良識ってもんを忘れるな。お前たち悪ノリしすぎだ」  サプライズだけでたくさんだと思う。相手があの二人だから、からかえる内に楽しんでおこうという腹なのだろう。 (バカだ、お前ら。池沢はともかく、三途はされたことを忘れないぞ)  
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