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「で、なんだよ。急に来いだなんて」
集まったのは秋野高也26歳、その弟芳樹24歳、使いっ走りの野村礼二21歳。
「相田くんからのご依頼」
「またかぁ? 今度は何だって?」
「そう言うなよ、金づるなんだから。しかも今回は面白くってかなりの見返りがある」
「サッサと言えよ、兄貴」
携帯の写メを取り出した。
「こいつ、相田のバカを訴えたヤツ。遊ばれたって方が正しいかな? 自分は檻の中で何もできないのが癪なんだろう。だからこいつにつきまとってくれって」
「つきまとうって、どういう風に? そこまでヒマじゃないよ」
「2、3日おきくらいでいいんじゃねぇの? 今日はすれ違いざまカミソリで手を切ってきた」
「おい! ヤバイよ、それ」
「大丈夫だって、礼二。カミソリの味を忘れさせたくないんだってさ。あいつ、趣味だからな。後は『相田』って名前をちらつかせろって」
「どの程度やる気だよ」
悪いことは結構やっているが、犯罪と呼べるほどのものはしていない。二人ともおっかなびっくりだ。
「要するにこの……ジェローム、ってヤツ? こいつを安心させたくないんだろ。裁判あるから精神的にボコボコにしとけって話さ。無理はしないで、やったってとこを見せときゃいいんだ。そしたらムショに入ってる間も小遣いくれるってさ」
「それで金くれんのか?」
「身元がバレない程度にうろつきゃいいのさ、それで小遣いがもらえる」
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