13.準備

21/37

513人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
  「で、なんだよ。急に来いだなんて」  集まったのは秋野高也26歳、その弟芳樹24歳、使いっ走りの野村礼二21歳。 「相田くんからのご依頼」 「またかぁ? 今度は何だって?」 「そう言うなよ、金づるなんだから。しかも今回は面白くってかなりの見返りがある」 「サッサと言えよ、兄貴」  携帯の写メを取り出した。 「こいつ、相田のバカを訴えたヤツ。遊ばれたって方が正しいかな? 自分は檻の中で何もできないのが癪なんだろう。だからこいつにつきまとってくれって」 「つきまとうって、どういう風に? そこまでヒマじゃないよ」 「2、3日おきくらいでいいんじゃねぇの? 今日はすれ違いざまカミソリで手を切ってきた」 「おい! ヤバイよ、それ」 「大丈夫だって、礼二。カミソリの味を忘れさせたくないんだってさ。あいつ、趣味だからな。後は『相田』って名前をちらつかせろって」 「どの程度やる気だよ」  悪いことは結構やっているが、犯罪と呼べるほどのものはしていない。二人ともおっかなびっくりだ。 「要するにこの……ジェローム、ってヤツ? こいつを安心させたくないんだろ。裁判あるから精神的にボコボコにしとけって話さ。無理はしないで、やったってとこを見せときゃいいんだ。そしたらムショに入ってる間も小遣いくれるってさ」 「それで金くれんのか?」 「身元がバレない程度にうろつきゃいいのさ、それで小遣いがもらえる」   
/330ページ

最初のコメントを投稿しよう!

513人が本棚に入れています
本棚に追加