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「朝なのが残念! 酒も飲めない」
「黙れ、和田! それより言うことがあるだろ?」
「はいはい、言われなくたってやるよ、澤田」
包みを大きな袋から引っ張り出した。やたらリボンが大きくて、おまけに赤いバラの花が1本つけてある。
「おめでとうございます、池沢チーフ! 三途さんの尻にいっぱい敷かれてください!!」
「は? なんでお前ら……」
花が頭を下げる。
「すみません、俺が喋っちゃいました。ま、サプライズです。たいしたこと出来ないけど。始業時間前にはここ掃除しますから」
持たされた包みはずしりと重い。
「開けてみろよ、池沢」
その声を辿ると田中がいた。
「田中さん! あんたまで……」
「そりゃこんな楽しい場面、見逃してたまるか」
田中は営業に行って本当に変わった。人間が丸くなった。
池沢はとても祝われているとは思えないようなブスッとした顔で包みを開けた。
「なんだ、こりゃ!!」
『お洒落なデートコース』『夜景の穴場』『ディナー五つ星』『女性がグッとくる愛の言葉』『いい夫になるマニュアル』『夫婦喧嘩の収め方』………
「三途さん相手じゃ苦労するでしょ? 俺たちからのプレゼント!」
「いるか、こんなもん!!」
「課長からのカンパも入ってますよーー」
広岡の言葉にギョッとして蓮を見た。
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