13.準備

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   診察の間、石尾は尾高の隣に座っていた。 「興味本位じゃありません。俺、先輩に起きていることをちゃんと知りたいです。歓迎会の時は……どうかしてたと思います、面談の時も。だから教えてください」  石尾の真面目な態度に、あれこれ考えて尾高は話し始めた。ジェイに起きたこと。みんなが心配していること。 「裁判になっても苦しむってことですか……」 「そうだ。相田は病的にジェイに固執している。だから何を考えてるのか分からないんだ」 「……今、先輩をつけ回してるヤツを捕まえなくちゃならないですよね」 「そうなんだが。さっき中途半端なことになってるから用心されるかもしれない」  診察室からジェイが出てきた。 「ご心配かけてすみません、やっぱり打ち身だけです」 「座ってろ、後のことは俺がやるから」 「ごめんなさい、また迷惑かけちゃって」 「バカだな、お前のせいじゃないだろ?」  自閉症の子どもを持つ尾高は、いつもジェイに親身に接してくれる。病院の付き添いは慣れているからと、窓口に向かった。 「悪かったね、業務中なのに。俺は……いまだにみんなに面倒かけて……」 『みんなはお前を好きだから面倒見るんだ』  そう蓮に言われたけれど、実際にこういう状況になるとやはりその思いが出てしまう。 「でも先輩の面倒見るの、みんな好きそうですよ。そう見えます」 「石尾くん……どうしたの? いつもと違うね」 「俺、ガキっぽいなって思って……すみません、いろいろと反省してます」  ジェイはふっと笑った。   
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