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「ガキっぽくなんかないよ。去年の今頃、俺はもっとガキっぽかったよ」
「でもすごく仕事出来たって」
「それだけだ。俺は何も知らなかった、石尾くんよりもずっと。みんなが助けてくれて育ててくれた。もし俺が本当に先輩っぽく見えるとしたら、そのお蔭なんだ」
「先輩は……立派だと思います。俺なら同じ目に遭ってまともに仕事なんか出来ない」
「それしかないからね。仕事してるとホッとするんだ」
(今度こそ、違う目でこの人を見ることが出来るかもしれない)
石尾はそう思った。比べるということでしか価値判断をして来なかったけれど、この会社に入って自分が変わって行くのを感じる。
「このバカ!!」
礼二は高也に引っ叩かれていた。
「捕まってんじゃねぇよ! もうお前はぶつかんのは無しだ。今度接触すんのは芳樹、お前がやれ。こいつを捕まえたことで調子に乗ってるかもしれない。ちょっとビビらせてやれ」
「OK。けど少し間を空けようよ」
「その方がいい。どうせヒマだから他のことも考えようぜ。相田のヤツからガッポリせしめたいからな。礼二、お前も何かしないと相田に口利いてやらねぇぞ」
「分かったよ……」
1人になろうと考えているジェイ。その心を砕くために悪だくみをする3人。
ジェイが裁判に出る日は確実に近づいている。
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