14.暴走

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   結果としては良かったらしい。年中現地の人と会議がある。言葉は英語で良くても、食事を一緒にしないのは付き合い上イメージダウンに繋がる。  哲平の突き抜けたような笑顔と食いっぷり、ダメなものを食べると『ゲ!』と素直な表情をするのが気に入られた。 『食べ物ってさ、ある意味万国共通語みたいなもんだよな。自分の国のものを安心して食ってくれるって、みんな喜ぶんだよ』  そう千枝に教えてくれた。お蔭で千枝も2日は腹の調子がおかしかったと言う。 「哲平さん、アフリカに飛ばされてもやっていけるよ」 「そう思う! そうだよね、すごいよねぇ」 (いや、褒めてないから)  浮かれ気分の千枝は何を言われても頭の中がお花畑になっているように見えた。  ジェイを見ているとこの2日、急に何か考え込むような顔をする。花は来週裁判に証人として出廷することになっていた。本当はジェイと話し合いたいのだが。 (方向性は決まってるからいいか。質問次第で答えていけばいいし)  事実だけを話すのだから、どう突っ込まれようが気にならないと思う。  西崎には言われていた。 「敵意丸出しの答え方はしないでね。後々不利になるタネになるから。なるべく正確に答えてちょうだい。『思います』とか『らしい』とか。そういうのは突っ込まれるわ。それに裁判長の心証も悪くなる」  
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