513人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
(今日は15日か……)
蓮がカレンダーを見るのはこれで何回目だろう。西崎からの連絡は今日の午前中に来た。先方からの証人として呼ばれることを。
(ジェイにどう伝える?)
西崎からは誰とも話し合ってはいけないのだと言われた。しかしジェイには……
仕事に身が入らない。とうとう考えるのを放棄した。
(そのまま言おう。話し合っちゃいけないと言われてる、それも言おう)
「ジェイはどこ行った?」
「休憩じゃないですか?」
花の質問に七生が答えた。
「翔、石尾は?」
「あれ? じゃ、ジェイ先輩と一緒かも」
「そうか……悪い、七生。4階見てきてくれ」
「はーい」
一緒ならいい。そう思ってだいぶ自分も過保護だと呆れてしまう。
(これじゃ、ジェイも息苦しくなっちゃうよな)
それでなくてもみんなが構う。それはそれでジェイも気を遣ってしまうかもしれない。
「いませんでしたよー。石尾くんもいなかったです」
花の背がすっと伸びた。
(いない? どこに行ったんだ? トイレか?)
まさかそこにまで七生に見て来いとは言えない。
オフィスを見回してちょうど蓮の考え込む様子が目に入った。
(なんか課長しんどそうだな……取り敢えずトイレでも行ってみるか)
これは過保護だからじゃない、自分がトイレに入りたいのだと妙な言い訳をしながら立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!