14.暴走

6/16

513人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
  (トイレにもいない……)  でも、会社の中で4階とトイレだけが行き先とは決めつけられない。石尾がいないからもしかしたらいっしょに外にコーヒーでも飲みに行ったのかも……と思ってみた。  ここのところ、石尾がジェイに素直な態度を取っているのを感じていた。仲良く、というよりきちんとした先輩後輩になっている。石尾は仕事の話をジェイに熱心に聞いていた。 (そうだな。きっと石尾と一緒だ)  これから30分ミーティングだ。ジェイが自分から1人になるとも思えない。 (今度から行き先を言えって言っとかなくちゃ) そう思いながら営業課に向かった。 (どこ行くんだろう) 石尾はたまたまジェイが階段を下りていくのを見かけた。 (4階なら俺も一緒に) そう思ってその後を降りた。けれどそのまま1階に降りてしまう。 (あれ?) 躊躇いなく外に出ていくのを慌てて追いかけた。 (1人でどこに? 危ないって知ってるのに)  なんとなく声をかけそびれて後を歩いて行った。ちょっとは用心棒になれるかもしれない。そう思いながら。   
/330ページ

最初のコメントを投稿しよう!

513人が本棚に入れています
本棚に追加