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(トイレにもいない……)
でも、会社の中で4階とトイレだけが行き先とは決めつけられない。石尾がいないからもしかしたらいっしょに外にコーヒーでも飲みに行ったのかも……と思ってみた。
ここのところ、石尾がジェイに素直な態度を取っているのを感じていた。仲良く、というよりきちんとした先輩後輩になっている。石尾は仕事の話をジェイに熱心に聞いていた。
(そうだな。きっと石尾と一緒だ)
これから30分ミーティングだ。ジェイが自分から1人になるとも思えない。
(今度から行き先を言えって言っとかなくちゃ)
そう思いながら営業課に向かった。
(どこ行くんだろう)
石尾はたまたまジェイが階段を下りていくのを見かけた。
(4階なら俺も一緒に)
そう思ってその後を降りた。けれどそのまま1階に降りてしまう。
(あれ?)
躊躇いなく外に出ていくのを慌てて追いかけた。
(1人でどこに? 危ないって知ってるのに)
なんとなく声をかけそびれて後を歩いて行った。ちょっとは用心棒になれるかもしれない。そう思いながら。
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