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(ん? あいつ、ずっと真後ろ歩いてる……)
オフィス街だからフード付きの薄い上着とジーンズは結構目立つ。それがピタリと等間隔を空けてジェイの後ろを歩いていく。
(イヤな感じがする)
石尾はちょっと足を速めた。
ジェイは感じ始めていた、誰かが後ろから自分を見ている。自分の後をついてきている。ちょっとゆっくり歩いて脇のガラスをチラッと見た。ジーンズだ、スーツじゃない。
ジェイはビル街の人気の少ない方へと向かい始めていた。
(ぶらぶら買い物がてらって感じだな。こいつ、高級店ばかり覗きやがって! 俺たちと違う階級ってことか? 相田と変わんねぇ)
筋違いの沸点の低い怒りが湧く。自分たちの手が届かない世界にいるような気がする。この自分には場違いなオフィス街で悠々と歩いている目の前の男に傷をつけたい。 言われたからじゃない、自分の意志がそこにあった。
離れるつもりはない、いざとなれば……そう思い、ついていく。ジェイが向かう方向が気がかりだった。
(このビルの先を曲がったら人があまりいないよ、先輩!)
携帯を握る、チームの外線を押した。
『はい、R&D提案担当、浅川です』
「翔? チーフは?」
『石尾? チーフはミーティングだよ』
「……尾高さん、いる?」
『いるよ、電話、回す?』
「そうしてくれ」
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