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角を曲がった途端に男がジェイに殴りかかって行くのを見た。石尾が走り出す、「先輩!!」と叫びながら。
その声に驚いた芳樹の勢いが落ちた。思わず右手で殴る体勢のまま後ろを振り向く。その腕をジェイが掴んだ。手首の上だ。右手を掴んで思い切り左に振り回す。芳樹がバランスを崩してつんのめったのを走ってきた石尾が地面に押さえつけた。
「石尾くん?」
「危ないじゃないですか!! 自分を囮にしたんですか!?」
石尾の真剣な顔に、ジェイの中の怒りが引っ込んでいった。
「俺について来てたの?」
「1人で外に出てくから。だから……」
「ごめん……また心配かけることしちゃった……」
「お願いです、1人で動かないでください! みんなに言いづらかったら俺でも翔でもいいです。言ってください、お願いです」
押さえつけた芳樹が暴れ始めた。
「てめぇ、放せ! この野郎!!」
それは無理だ、今は石尾とジェイが押さえている。
「他に何人いるの?」
「知るか!」
「いつまでこんなこと、続けるつもり?」
「相田さんがムショから出てくるまでだ!」
「何年もかかるのに?」
「うるせぇ!!」
べらべらと芳樹が喋る、石尾も聞いているというのに。
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