14.暴走

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   オフィスに帰ると花が戻っていた。じっと自分を見る目にジェイは俯く。ツカツカと聞こえた足音に顔を向けた。 ――パシーーンッ!!!!  周りが息を呑んだ。 「みんなに言うことがあるだろう」  叩く音は大きかったが、蓮の声は静かだった。頬が熱くなる、ジンジンと痛みが広がる。ジェイは頭を下げた。 「課長……チーフ、皆さん……ごめんなさい、俺……どうしても……」  その後は続かなかった。花が傍に立った。叩かれることを覚悟して目を閉じた。その体を抱き締められた。 「バカだなぁ……言えよ、俺に。半分とは言わないよ、けど少しはお前の苦しいのを俺に回せよ……」 「はなさん……」 「俺はお前の兄貴だろ? それじゃインドからゲンコツが俺に降ってくるよ。俺はもうお前に傷一つ負ってほしくないんだ」 「はい……はい」  花のお蔭で、もう無茶をすることはないだろうと蓮は思う。 「ジェイ、お前の気持ちは分かった。けどな、こういう戦い方じゃダメだ。ちょっかいをかけてきたヤツが捕まったのはいいことだ。そこから状況が変わっていくかもしれない。だが、お前を思う者を忘れるな。俺……たちはお前の身内のつもりなんだからな」  蓮の言葉に、花の肩に顔をうずめたままジェイは何度も頷いた。  
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