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「それで? 相手は何か言ってたか?」
冷静になった池沢の問いに、ようやくみんなの肩から力が抜けた。
「一人じゃないです、他に仲間がいます。少なくても二人。捕まえた時に相田が絡んでるってことを言いました。石尾くんが証人です」
「はっきり聞きました、その相田って人が刑務所から出てくるまで先輩に嫌がらせを続けるつもりだって」
「刑務所から出てくるまでって……その間つきまとうつもりだったのか!」
池沢は蓮を見た。
「課長、これ西崎さんにすぐ……」
「伝える。状況が変わってほしい。それに他の仲間を捕まえてもらわないとジェイは狙われ続ける」
蓮はすぐに西崎に連絡を取った。
「大丈夫だ、西崎さんの方で動いてくれる。向こうに不利なことがまた重なったってことだ」
池沢がオフィスを見渡した。
「仕事だ! ジェイ、お前は罰として野瀬さんが散らかした資料を今日中に片付けろ」
机の上にファイリングもせず山積みになっていた図面やら大事な走り書きが、さっきの騒ぎで床に落ちて散らばっていた。もう日付も何もかもぐちゃぐちゃの有り様。
「やります、ありがとうございます」
そんなことで許されるのなら…… 罰をもらえたことが有難かった。
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