15.いよいよ

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   帰宅中の車の中。 「蓮……」 「もうあの話は無しだ。お前も分かったみたいだし。……頬っぺた、痛み引いたか?」 「大丈夫。……ごめん」 「離れないからな。仕事中はきっと無理だ。けど会社を出たらそばから離れない。買い物でもなんでも一緒に動く。いいな」 「うん」  後の二人が気にかかる。一人逮捕されたことで手を引いてくれればいいのだが。 「蓮、明日ノート見てもらっていい?」 「事件のか。構わない、見てやるよ。本当は思い出させたくないんだ、お前に。忘れて済むことなら……でも」 「裁判、あるからね。でしょ? きっとすごくキツいんだろうね……」 「頑張るしかないんだ、同じ法廷に同席できたとしてもお前のそばにいることは出来ない。お前を救うのはお前しかいない。記憶が戻れば…辛いだろうが戦えるよ」  ジェイの在り方が本当に変わった。状況を認めようと必死なのが伝わってくる。あの一時期の錯乱しがちだったジェイから比べれば、今はなんと穏やかなことか。 「ジェイ、言っておくことがある。18日な、公判に俺は行くことになった。相田の弁護士に出廷を求められた」 「え?」 「何を聞かれるかは分からない。けど、頑張ってくる。このことについてお前と話し合っちゃいけないって西崎さんから釘を刺されている。そのつもりでいてくれな」   
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