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自分のしたことで誰かが血を流す……
「……できない……出来ない、俺には無理だよ、そんなこと……」
「そうだ、お前は優しすぎるんだ。だから誰かを追い詰めるなんて考えるな。やる時には一緒だ。我慢できないほど憎いと思ったら俺も憎んでやる」
「相田が……あの人が憎いんだ。俺を壊して、また壊そうとしてる……これからもずっと壊し続ける気だった……」
「俺も憎い。もしこの先あいつがお前の前に姿を現すことがあれば」
そこで止まった蓮の言葉を待った。
「その時には殺してやる。二度とお前には近づかせない」
静かで激しい言葉。初めて憎しみに満ちた蓮の声を聞いた。ジェイは蓮に寄りかかった。
「じゃ、一緒に殺そう。蓮だけが罪を犯すなんてイヤだ。どこまでも一緒だよ」
その夜は溺れるように愛し合った。互いを求めて何度も体を繋げた。
思ったよりも昼間のことが蓮にはショックだった。その気持ちに戸惑う。身の危険も顧みず、一人で相手を誘い出そうとしたジェイ。怯えも忘れるほどの怒りに包まれて。
我を忘れて、もし何人もの相手に囲まれてたら……
もう終わったことなのに今さらのように体が震える。相田たちはもうジェイを苦しめることしか考えていないのだから。
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