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「はい。量、多い?」
グラスに3分の2くらい。決してたくさんは注がない。最近は量が多いのを見るだけでげんなりした顔を見せるようになったから。
「これくらいなら大丈夫」
言わなくてもゆっくり飲むようになった。本当は病院に行ってほしい。でもきっと『忙しいからその内にな』そう言うだろう。
薬を用意する。いつもその薬に祈っている。
(蓮の体を楽にしてください)
シャワーは朝にすると言う。ベッドに入ったから毛布をかけた。夜中はまだ冷える時がある。
ミキサーを片付けてグラスを洗って。寝室に戻れば蓮の寝息が聞こえる。
(母さん。俺、愛してるんだ、守りたいんだ、いつも守ってもらったんだ……母さん。俺に力を貸して。蓮を守りたい。強くなりたい)
横に並ぶと切なくなる。
(俺は大丈夫だからね。いろんなことを思い出してきたよ……でも大丈夫だから。ちゃんと頑張るから)
あの歓迎会が引き金となって溢れてくる記憶に苛まれる……蓮の手を握り、肩に頬を当てた。
(お休み、蓮)
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