1.我慢

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   翌日は見事な晴れだ。久しぶりにこんな青空を見る。蓮はカーテンも窓も開けた。外の空気が心地いい。  ジェイはとっくに起きているらしく、キッチンから小さな声が聞こえていた。 (また真理恵さんか)  この頃のジェイはすっかり料理を楽しんでいて、本で分からないとすぐに真理恵に電話をする。どうやら真理恵まで弟が出来たと喜んでいるらしい。 (フレンチトーストがいいな。今日は何だ?)  キッチンから漂う匂いはどうもフレンチトーストからは程遠そうだ。でもちょっと気分がいい。きっと今日はかなり食べられるような気がする。  前日の歓迎会のアルコールの匂いで蓮は堪えていた。何度か吐き気がした。そしてフロアに戻った時にあの騒ぎを見た。 (ジェイが……頑張っている)  傍に行ったら崩れてしまうかもしれない。そう思ったから近寄らなかった。ただ見ていた、ジェイの耐える姿を。 (お前は頑張った。俺も頑張んないとな)  後ろからキッチンを動き回るジェイを見ていると笑みが零れた。 真正面から可愛いと言われて嬉しそうに俯いたその体を抱きたかった。  ふっとそんなことを考えながら意識がぼやけた。   
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