512人が本棚に入れています
本棚に追加
蓮はぐっすり眠っていて三途川が来てからそっと起こされた。訳が分からないうちにカジと優作に抱えられる。
「おい、なんの真似だ!? 三途!」
「なんの真似? 子供っぽいこと言わないで。病院に行くの。もう先生待ってるから」
「下ろせ、自分で歩ける!」
「だめ、蓮、やってもらって。お願い。ね、蓮」
泣き出さんばかりのジェイがそれでも涙を流すまいと必死なのを見て蓮も大人しくなった。
「お前が連絡したのか」
「だって……」
「ジェイにお礼言ってほしいわ。出血してるんでしょ。先生が言ってたわ、我慢するにもほどがあるって」
大きなワゴン車で、運転席にはイチが待っていた。
「すいぶん大がかりで来たんだな」
「河野さんが一筋縄でいかないのは知ってますからね。でも逆らう体力もないじゃないですか。だめです、これじゃあんたらしくない」
カジの言葉に(もうなるようになれ)と蓮は心で呟いた。
仕方ない、もっと持ちこたえるつもりだった。けれど体にストップがかかってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!