510人が本棚に入れています
本棚に追加
/330ページ
病室の前で花は深呼吸していた。
三途川のお陰で時間外だけれど面会を許されて、それでも中に入るのを躊躇っている。
ジェイの辛い思いをずっと見てきた。立ち直ろうとする姿も。なのになぜかジェイには厳しい状況が降り注ぐ。
(あんなに頑張っているんだ。もういいじゃないか!!)
何も出来ずにいる自分が悔しくて歯がゆい。
真理恵に見舞いに行ってくると電話した時にきつく言われた。
『花くん。笑顔忘れないでね。ジェイくんは人の心に敏感だから傷つきやすいんだと思う。必ず笑顔を見せてあげて』
そう。心配のあまりつい厳しい顔をしてしまう。
『私たちが余裕を失くしちゃだめ』
その通りだ。だから深呼吸をする、笑顔を見せるために。
最初のコメントを投稿しよう!