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知美の今日、二度目の目覚めは女性の奇声からだった。
いつの間にか地面に転がっていた知美は体を起こすと直ぐに異変に気付く、
少し、ぼやける視界にはなぜか血だらけの自分がいた。
「え?」
驚きに少し枯れた声が漏れた。何度も目をこすたっり瞬きをするが目の前の死体となった自分は消えず、一度周りを確かめるとそこは薄暗い空間で先程バスに乗っていたであろう人達が何かに声をあげながら逃げ惑っている姿が見える。
視界がクリアになってもまだ変わらない光景に知美は口元を押さえながら絶叫を寸前で押さえた。
背後には大破したバスがあり窓側にいた知美はバスから投げ出されたのであろう。バスの中、瓦礫の下には無数の手や足また頭などが覗いていた。
知美は嗚咽を寸前に止めた。口の中には酸っぱいものが広がる。知美の目の前に黒い影が現れる。
そこには一匹の大きな黒い狼がいた。
他にも狼はいるようで次々と人を食らって大きくなっていった。
(あぁ、私も食べられちゃうんだ)
そんな時、突然空間に大きな穴が開くと黒いコートを着た怪しげな集団が走りこんでくる。
知美はいまだ自分の状態と周りの反応についていけずにただその場で座り込んで血だらけの自分の体を抱いていた。
そんな知美の腕を引いたのはイヤミな太一だった。
「おい!ボーッとすんな!逃げるぞ」
太一は知美の腕を強く引くと知美を連れて走り出す、知美は転びそうになりながらも訳がわからず付いていく。
その頃、黒いコートを着た人物達は懐から何かを取り出しバスに乗っていた乗客、運転手の元へと向かうとあっという間に乗客と運転手の身を真っ二つにしてしまった。
それに合わせるように周りにいる人達も次々とその姿を血と肉のへんと化せ、地に落ちる。
知美はその状況に思わず口に手を当て視線を地面におくればザッと目の前に黒いブーツが現れた。
(あぁ 次は私の番だ)
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